オール電化はアリかナシか 前編【マイホーム探し】
こんにちは、やんともです。
中古戸建てを購入しマイホーム生活を始めました。
家探しの体験談を綴っていきたいと思います。
私が購入した家はオール電化ではありませんが、見学に行った物件の中には新築・中古ともにオール電化の家がいくつかありました。
オール電化には賛否意見がありますので、オール電化がアリかナシか私なりの考察を述べさせて頂きます。
結論としては、私は「オール電化はアリ」だと思っています。
その理由については以下の内容で解説いたします。
長いので2回に分けて投稿します。
【前編(今回)】
1.一般的に言われているオール電化のメリット・デメリット
■オール電化のメリット・ガス併用のデメリット
■オール電化のデメリット・ガス併用のメリット
2.ガスと電気はどちらが安いか
■エネルギー単価
■エネルギー効率
■総合的には
次回へ続く
■ヒートポンプとは(おまけ)
3.停電を考慮してガスを残しておいた方がよいのか
4.電気VSガスその他の論点
■電気VSガスの根本的な優位性と将来性
■番外編:乾燥機の比較
5.結論
1.一般的に言われているオール電化のメリット・デメリット
今回の記事においてオール電化とは、コンロ&給湯器の組み合わせがIHヒーター&エコキュート(電気給湯器)の家を指します。
逆にガス併用とは、ガスコンロ&ガス給湯器の家を指します。
もちろんコンロor給湯器のどちらか一方のみ電気という家もあるかと思います。
またそれ以外に、乾燥機の電気VSガスもありますが、番外編として4章(次回)で触れたいと思います。
一般的によく見言われるオール電化メリット・デメリットは以下の通りです。
【オール電化のメリット・ガス併用のデメリット】
①火を使わないので安全
②光熱費が安くなる
③掃除が楽
④太陽光発電と組み合わせることで節電効果があがる
【オール電化のデメリット・ガス併用のメリット】
⑤初期投資が高い
⑥昼間の電気代が高い
⑦停電が起きた際に全ての設備・機器が使えない
⑧敷地内に大きなスペースが必要(エコキュート)
⑨加熱調理のレベルがおちる
それぞれの詳細について解説いたします。
オール電化のメリット・ガス併用のデメリット
①火を使わないので安全
コンロの話で、火を使わないので火事になったり、子供が火を触ったりするリスクが少ないということです。
これはその通りでIHの最大のメリットかと思います。
ただし、電気でも全く火事のリスクがない訳ではなく、ショートしたりして出火することはあります。
②光熱費が安くなる
コンロや給湯器に掛かる月々の光熱費(ガス代/電気代)が安くなるということです。
ただし、これは結構複雑な話で単純なエネルギー単価だけを比較すると一般にガス(都市ガス)の方が安く、エネルギー効率や割引料金を考慮してトータル電気が安いという話です。
ちょっと長くなりますので、2章で詳細解説いたします。
③掃除が楽
これも主にコンロの話ですが、五徳が付いたガスコンロに比べ、凹凸が少なく拭き掃除ができるIHの方が掃除がしやすいです。
レンジフードもIHの方が汚れにくいそうです。
これもその通りであり、IHの方が圧倒的に有利です。
また、大掃除の際などに誤ってガスホースを抜いたりなどの間違いもないので、安全に掃除できます。
④太陽光発電と組み合わせることで節電効果があがる
家庭のエネルギー源を全て電気にして、太陽光パネルで自家発電すれば、理屈上は光熱費をゼロに近づけることができます。
対して、ガスは自宅で自然エネルギーから作り出すことはできませんので、ガス併用の場合は少なくともガス分の光熱費はかかります。
基本的にはその通りですが、太陽光パネルそのものが高額なため、新規で設置した場合は元を取るのはかなり大変です。
太陽光パネルは発電して余った電気を電力会社へ売電することもできますが、最近は売電単価が下がっているため、こちらも儲けが出にくくなっています。
また、後付けでパネルを付けようとした場合、屋根の上に重量物を載せることになりますので、建物の耐震上も若干不利となります。
中古住宅で初めからパネルが付いている家であれば、その物件はポイントアップかなと思いますが、新規で設置する場合はお勧めされないことが多いです。
オール電化のデメリット・ガス併用のメリット
⑤初期投資が高い
コンロ・給湯器ともに電気式の方が機器本体が高額になります。
私がリフォームの参考にコンロ取り換えの見積りを取った際は、IH:26万3千円/ガスコンロ:13万6千円(工事費込み、値引き込み)で倍半分の差でした。
ちょっと差が大き過ぎますが、平均的にはIH:20万円/ガスコンロ:15万円ぐらいの感覚のようです。
給湯器も、電気給湯器(エコキュート):40万円~50万円/ガス給湯器:20万円~30万円が相場で、やはりガスの方が20万円ほど安いです。
古くなって交換する場合も、毎回同程度の額がかかってきます。
(将来的は相場が変わる可能性はあります。)
まず、中古住宅で初めからオール電化の場合は、少なくとも初期費用がかからない分、かなりポイントアップです。
新規で付ける場合はかなりの金額差になりますが、それ以外のメリットを十分にメリットとして享受できるのであれば、必要コストではないかと思います。
⑥昼間の電気代が高い
オール電化の家庭の場合、夜間電力が安く昼間電力が高くなるように電力会社と契約することになります。
極力夜に電気を使うようにすればよいですが、昼間に電気を使わなければいけない人は、高くつくと言われています。
ただ、これはちょっと古い情報のようです。
昔(4年ぐらい前まで?)のオール電化用の電気プランは、夜間は電気単価が安くなるものの、昼間は標準プランよりちょっと高くなっていたようです。
ただし、電気給湯器は夜間にお湯を沸かすので、通常は平均単価が安くなりますが、昼間に多く電気を使う人は割高になったようです。
今のオール電化用電気プランは夜間も昼間も通常の電気単価より安くなっていますので、昼間の電気使用量は気にしなくて良さそうです。
(東京電力の話です)
⑦停電が起きた際に全ての設備・機器が使えない
これはオール電化否定論でよく言われることで、震災などで停電が起きた場合、オール電化の家はエネルギーを使う全ての機器・設備が使えなくなりますが、ガス併用であればガスの供給が生きていればガス設備は使うことができるという話です。
しかしこの理論については、私は明確に否定しておきます。
これはオール電化を否定するデメリットにならないと思います。
こちらも少々長くなりますので3章(次回)で説明たします。
⑧敷地内に大きなスペースが必要(エコキュート)
これは給湯器の話ですが、エコキュート(電気給湯器)は70cm×70cm×高さ2m程度の大きさのヒートポンプ&水タンクと、熱交換器(エアコンの室外機のようなもの)で構成されており、敷地内にこれらを設置するスペースが必要になります。
対してガスの給湯器はそこまでスペースを取りません。
これもその通りであり、都心の狭小住宅では設置が難しいケースがありますし、道路に面した所に無理やり設置して、見た目が悪くなる場合もあります。
スペースが確保できない場合は強制的にガス給湯器になります。
⑨加熱調理のレベルがおちる
コンロの話になりますが、本格的に料理をやる人であれば、ガスコンロを上手く使って本格的な料理をすることができます。
鍋を振ったり、火から少し離して温度を調整したり、鍋の一部だけを加熱したり。
IHだとこれらがほとんどできなくなります。
これもごもっともです。
私はあまり料理はしませんが、学生時代は飲食店のキッチンでアルバイトをしていましたのでよくわかります。
料理を拘る人にとってはどうしようもないデメリットです。
2.ガスと電気はどちらが安いか
1章で書いたオール電化のメリット②の話です。
コンロと給湯器に関して、ガス式でガス代を払うのと電気式で電気代を払うのはどちらが安いのでしょうか?
エネルギー単価
東京電力の電気と東京ガスのガスで、エネルギーあたりの単価を計算すると、ざっくり電気の方が2.5倍ほど高くなります。
(使用量によっても変わりますが)
上記は通常の電気料金プランの場合で、オール電化用プランで夜間電力を上手く使うと、2.0倍ぐらいでしょうか。
これだけを見ると圧倒的にガス有利ですが、ここにエネルギー効率というものを考えなければいけません。
エネルギー効率
エネルギー効率とは、エネルギーを使って何か機器や設備を働かせる際、エネルギーロスを除いて正味必要な仕事にエネルギーを使った割合になります。
例えばガスコンロと鍋でお湯を沸かす場合を考えると、ガスが持つエネルギーを使ってコンロで炎を燃やし、炎の熱で水を温めます。
この時、ガスが持つエネルギーが全て水に吸収されればよいのですが、そのようなことは難しく、水以外のところへエネルギーは逃げてしまいます。
コンロの前に立つと暑いと感じますが、これはコンロの炎が周囲の空気も温めてしまっているためで、本来は空気など温めなくてよいので、無駄に空気を温めた分はエネルギーロスとなります。
では電気とガスはどちらがエネルギー効率が良いのでしょうか。
まずコンロについては、いまいち納得できる文献が見るからないのですが、私が見た中では「IHが79%、ガスコンロが55%」というのが、一番しっくりくるかなと思います。
これと先ほどのエネルギーあたりの単価差を掛け合わせると、同じエネルギーを取り出すのに電気の方が1.7倍(夜間電力なら1.4倍)高いということになります。
まだやはりガスの方が有利です。
続いて給湯器のエネルギー効率については、最新のガス給湯器エコジョーズは95%で、対して電気給湯器エコキュートは350%です。
エコジョーズは普通に「優秀だな」といった数字です。
対してエコキュートは驚異的な数字を叩き出しましたが、そもそもエネルギー効率が100%を超えるということがあり得るのでしょうか?
その答えには両者の根本的な原理の違いが関わっています。
ガス給湯器はガスが持つエネルギーを熱に変えてその熱を水に吸収させているので、100%を超えることはできません。
一方エコキュートは、水を温めるエネルギーをどこから持ってきているかというと、実は外気から熱エネルギーを奪ってきています。
電気は熱エネルギーを運ぶヒートポンプを動かすのに使っているのに過ぎません。
なので、100%を超えることができるのです。
このエネルギー効率の違いとそれぞれの単価を掛け合わせると、同じエネルギーを取り出すのに必要なコストは電気の方がガスの0.7倍(夜間電力なら0.5倍)となり、こちらは電気の方が安くなります。
総合的には
コンロはガスが安い、給湯器は電気が安い、ではトータルはどうかと言うと、もちろん家庭によって違いますが、多くの場合電気の方が安いです。
ガスコンロとガス給湯器では、圧倒的に給湯器の方がガス消費量が多く、その差は20倍という試算もあります。
ガスコンロとガス給湯器トータルでは、電気の方がガスの0.5~0.8倍のエネルギー単価となり、オール電化の方が光熱費が安いということになります。
ちなみに、上記は電気VS都市ガスの話になります。
プロパンガスは都市ガスより高いため、電気VSプロパンガスは完全に電気の勝利です。
次回へ続く
前編はここまでです。
ヒートポンプとは(おまけ)
余談ですが、皆さん「ヒートポンプ」って聞いたことありますか?
エアコンや冷蔵庫や乾燥機などの話をする際に名前が出ることがあります。
この「ヒートポンプ」って何者なのか説明できますか?
ヒートポンプとは、温度の低い所から温度の高い所へ熱を移動させる(汲み上げる)装置のことです。
何のことと分からないと思いますので、ある部屋とその部屋の中にある冷蔵庫を考えます。
部屋の室温の方が高く、冷蔵庫内の温度の方が低いです。
冷蔵庫本体の断熱性を無視したとすると、冷蔵庫の電源を切って放置すると、冷蔵庫内の温度は上がり部屋の室温は少し下がります。
しばらくすると同じ温度になります。
これは温度の高い部屋の空気から温度の低い冷蔵庫内の空気へ熱が移動しているということです。
これは自然の物理現象として当然のことで、必ず熱は温度の高い所から低い所へ移動します。
低い所から高い所へ移動することはあり得ません。
しかし、冷蔵庫はこのあり得ない現象を起こさなければなりません。
温度の低い冷蔵庫内から熱を奪って庫内の温度を下げ(低い温度を維持し)、奪った熱を温度の高い部屋の空気へ捨てなければなりません。
そこで登場するのがヒートポンプです。
ヒートポンプは温度の低い所から高い所へ熱を移動させることができます。
冷蔵庫はこの原理を使って冷蔵庫内から熱を奪って庫外(部屋の空気)へ捨てることで、冷蔵庫内を冷やします。
暖房(エアコン)はこの逆で、屋外の冷たい空気から熱を奪い、奪った熱を室内へ放出することで室内の温度を上げます。
熱を水に例えると分かりやすいですが、水も高い所から低い所へ流れることはできますが、自然には低い所から高い所へは流れません。
低い所から高い所へ水を汲み上げたい場合はポンプが必要です。
ヒートポンプが何をするものなのかは上記の通りでよいとして、ヒートポンプが温度の低い所から高い所へ熱を移動させる原理を理解しようとすると結構難しいです。
高校時代、物理が得意だった私ですが唯一卒業するまで理解できなかったのがヒートポンプの原理です。
大学で工学部に進んでもすぐには理解できませんでしたが、ある時ボーっと考えていると「あっ、そういうことか!」と理解することができました。
ここではヒートポンプの原理までは解説しませんが、興味がある方は下記動画を見てみてください。
【ゆっくり解説】なぜ冷房は涼しいのか-エアコンの原理- - YouTube
私の頃もYouTubeがあれば・・・
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
筆者(やんとも)とこのブログについての紹介です( ^ω^)b
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