中古戸建てにおいてツーバイフォーは不利か?【家探し】
こんにちは、やんともです。
私が購入した中古戸建ては「ツーバイフォー工法」で建てれた木造住宅です。
ツーバイフォーとは壁で家を支える構造ですが、中古住宅をリフォーム(リノベーション)する場合ツーバイフォーは不利(自由度が低い)と言われます。
今回は戸建ての工法の違いや、ツーバイフォーがリフォームに不向きな理由についてお話しいたします。
1.ツーバイフォー工法とその他の工法
■在来工法とは、ツーバイフォーとは
■今家を建てるならどちらの工法がいいか?
■実際にツーバイフォーの家に住んでみて
2.中古住宅においてツーバイフォーはメリットかデメリットか
■リフォーム(間取り変更)のし易さについて
■築古物件の安全性について
3.まとめ
4.出典
1.ツーバイフォー工法とその他の工法
在来工法とは、ツーバイフォー工法とは
日本の木造戸建てに用いられる工法は大きく2つあります。
在来軸組み工法と枠組み工法(ツーバイフォー)です。
在来軸組み工法
柱・梁・筋交いを組んで家を支える工法です。
面材は柱と柱の間を埋めるように貼られており、基本的には面材には家を支える力はありません。
在来工法とも呼ばれ、日本の戸建ての50%超がこの工法で建てられています。
大工さんの高い技能が必要です。
枠組み工法
ツーバイフォー工法のことですが、正式には枠組み工法と言います。
下図のように木材を組み上げて強固なパネルを造り、そのパネルを壁材として組み合わせて家を造ります。
パネル自体に強度があるので、壁で家を支えます。
上図において縦横の枠組みを構成する木材が、2inch×4inchの規格なので「2×4」で「ツーバイフォー」と呼ばれます。
(なぜか実際の木材は2inch×4inch=50.8mm×101.6mmではなく、38mm×89mmだそうです。)
「2×6」「ツーバイシックス」という規格もあるようです。
パネルを予め工場で造って、現地ではパネルの組み合わせのみ行うプレハブ工法もあります。
日本の戸建ての約25%が枠組み工法です。
高い技能がなくても比較的簡単に家が建てられるようマニュアル化された、合理的な工法になっています。
家を建てる場合は、ハウスメーカーによって軸組み工法専門であったり枠組み工法専門であったり、どちらの工法も選択できるメーカーがあったりするようです。
※この記事では在来軸組み工法⇒在来工法、枠組み工法⇒ツーバイフォーと表記します。
今家を建てるならどちらの工法がいいか?
新築の家を建てようとした際、ハウスメーカーを訪ねると「在来工法がいい」というメーカーもあれば、「ツーバイフォーがいい」というメーカーもあるそうです。
しかし、ほとんどがポジショントークで、自分のメーカーが採用している工法をおススメしているだけのようです。
建築関連の動画を見る限りでは、適正に設計し適正に施工すれば特別にどちらが有利・不利ということはなく、どちらも安全・快適に住むことができるそうです。
ツーバイフォーは元々、北米で家が不足した時代に開発された工法で、規格の木材を規定通りに組み合わせれば誰でも簡単に丈夫な家を建てることができるようにマニュアル化されています。
更に日本に導入される際には、日本用に更に厳しい規定が制定されているので、規定通りに造ればかなり強度は高いです。
また、規定がしっかり定められているので、品質のバラツキが少ないそうです。
一方、在来工法は日本の大工さんたちが自分たちのやり方で生み出してきた工法で、元々あまり規定化されていない工法でした。
よって、しっかりした家もあれば強度の弱い家もあり、かつては品質にバラツキが大きい工法でした。
それ故に、過去の地震においては在来工法の方が倒壊件数も多かったようです。
しかし、現在はその反省を活かして在来工法も規定化が進み、品質の底上げがなされ、きちんと設計すればツーバイフォーと優劣のない強度になっています。
ただし、現在でもバラつきが出やすいのは在来工法で、現在でも一部強度に不安のある家が建てられることがあるそうです。
家を建てる際に重要なのは、在来工法かツーバイフォーかではなく、きちんと設計され耐震等級が取られていたり、強度計算がなされているかだそうです。
かつては在来工法もツーバイフォーもそれぞれにデメリットがあったそうですが、現在は両工法も改良や規定の厳格化が図られ、どちらもデメリットが解消されています。
安全性(耐震強度)
かつてはツーバイフォーの方が耐震強度が高いと言われていましたが、これはツーバイフォーの方が強いと言うより、規定がしっかりしていて強度の弱い家が造られ難かったということのようです。
きちんと設計施工すれば在来工法も十分な強度を持たせることはでき、近年は在来工法も規定が作られ強度の弱い家も造られ難くなったそうです。
気密性・断熱性
かつてはツーバイフォーの方が気密性・断熱性が高いと言われていました。
これは事実のようで、ツーバイフォーはパネル(壁材)を組み合わせて家を造るので、パネルの接合がしっかりしていれば気密性は上がるからです。
しかし近年は、在来工法でも柱と柱の間にしっかりした壁材が貼られ、十分な気密性や断熱性が保たれるようになっているそうです。
湿気の溜まりやすさ
ツーバイフォーは気密性がよい分、かつては湿気が溜まり易いと言われていました。
しかし近年は換気に関する規定も定められており、特にツーバイフォーだけが湿気が溜まり易いということもないそうです。
家を建てるコスト
コストについても大きな差はないそうです。
まず木材の使用量については、しっかりした壁を造るツーバイフォーの方がやや多くなります。
一方で、高い技量を必要とする在来工法に比べ、規定通りに木材を組み合わせるだけのツーバイフォーは大工さんの人件費は抑えられます。
よって差し引きで最終的には大きな差はなくなるようです。
ただし、近年はどちらの工法も工場でパネルや柱を造って現地では組み立てるだけのプレハブ工法・プレカット工法が主流化しつつあるなど、細かい施工方法などは異なりますので、ハウスメーカーでコストのバラツキはあります。
上棟の要する日数
上棟に要する日数は在来工法の方が短いと言われており、早く屋根ができるので組み上げた木材が雨で濡れる可能性が低くなり、家の健全性が保たれるという話があります。
これについて、在来工法の方が上棟が短いというのは事実らしく、基本的には1日で組み上げてしまいます。
一方で、ツーバイフォーも在来工法よりは遅いながら、工場でパネルと造ってくるプレハブ工法が主流になり、3日程度で屋根まで組み上がるそうです。
よって、在来工法よりは不利ながら、ツーバイフォーも天気予報で雨を回避できる範囲内ではあるようです。
実際にツーバイフォーの家に住んでみて
私が購入した中古戸建てはツーバイフォーですが、実は購入する時点ではツーバイフォーであることを知らず、知ったのは割と最近です。
リフォームで間取り変更までするつもりがなかったので、工法はあまりきにしておらず、工法の違いもよく知りませんでした。
見学時に仲介営業マンに質問してみたのですが、「すぐにはわかりません」と言われてそのままでした。
ツーバイフォーであることを聞かされたのはお隣さんからで、お隣さん含めうちの自治会の15世帯は全て同じ時期に同じメーカーが同じ工法で建てた同じ分譲地の家です。
ツーバイフォーと知らずにツーバイフォーの家に住んでみて、何か気になる点があったかと言うと、ほとんどありません。
ツーバイフォーは壁に大きな開口部を開けられないので大きな窓を付けられないといいますが、リビングや寝室の窓は普通に大きいです。
高級な家にはもっと大きな窓があるのかもしれませんが、うちの家族はこれ以上の窓が欲しいと思わないので、窓が小さいと思ったことはありません。
室内においても壁で不便に思うところは特にありません。
1つ上げるなら部屋の形が「なんでこんな形なんだろう」と思うことはありました。
リビング・ダイニングは普通の長方形ではなく凸の字のような形をしています。
当初はそういうデザインなのかと思っていました。
ツーバイフォーと知ってからは、確かにしっかりした壁だなとは思います。
写真は玄関とトイレを仕切っている壁ですが厚さ約115mmです。
枠組み用木材の89mm幅に、面材と石膏ボードの厚みが加わっているものと思われます。
手で触った感じでは厚みもあるし強固な感じもします。
ほぼ同等の厚みの壁が家中に張り巡らされています。
一方で太い柱は見当たりません。
部屋中を見渡すと、「これだけの壁がこれだけ張り巡らされていれば、それなりの地震でも崩れることはないわな。」と感じます。
あくまで私の感覚ですが。
図面を見て唯一不安を感じるのはリビング・ダイニングで、家の中で一番広い部屋なのでその分壁の密度も低いです。
もちろん規定に従って造られているので、問題ないとは思いますが。
壁は単純な1枚壁ではなく、クローゼットなどを配置して東西方向の壁も東西方向の壁も混在するような間取りになっています。
上で述べたリビング・ダイニングの形状についても、恐らくツーバイフォーで強度を持たせるためではないかと思います。
下の図(壁を上から見た図)の赤色の壁においても、図1のように単調な壁よりも、図2のように東西方向の壁も設けた方が東西方向の揺れにも強くなります。
一方、ツーバイフォーが断熱性能が高いという説については、特に高い断熱性を感じたことはありません。
真冬の寝室は普通に寒いです。
まあ、最新の高断熱住宅も実際に住んで体感したことはないなので、意外とこれでも断熱性のは高い方なのかとも思います。
2.中古住宅においてツーバイフォーはメリットかデメリットか
リフォーム(間取り変更)のし易さについて
ツーバイフォーのデメリットとして、リフォーム時の間取り変更の自由度が低いとよく言われます。
これは本当なのでしょうか?
結論としては「△」のようです。
まず、ツーバイフォーは壁を取り除くのが難しいというのは事実のようです。
壁で家を支えているので、壁を抜くと強度が落ちることになります。
壁に開口部を造ることに関しては、規定に従って必要な補強を行えば可能とのことですが、それは主に新築時の話かと思います。
リフォーム時に補強を行って壁を取る(開口部を開ける)ことも不可能ではないと思いますが、コストもかかるし自由度も決して高くはないと思います。
では一方で、在来工法であれば絶対的に間取り変更が容易かと言うとそうでもないようです。
まず、在来工法は主に柱で家を支えますが、最近の在来工法の家は柱と柱の間に設置する壁材にも強度を持たせているそうです。
筋交いの入った壁もあります。
そのため、在来工法でも安易に壁を抜くと強度低下を招くケースがあります。
また、壁に開口部を設けたり室内に広い空間を設けることに関しては、ツーバイフォーは古くから厳しい規定があることで制約を受けますが、在来工法も規定が無いというだけで何でも自由という訳ではないです。
構造学的な強度は在来工法もツーバイフォーも大きな差はなく、在来工法だけが自由に広い空間を造れるということはありません。
一昔前の在来工法の家は、規定が無いことで少々無理な間取りで造られるケースもあり、それは間取りの自由度が高いと言う訳でなく強度を犠牲にしていただけとのことです。
よって、リフォーム(間取り変更)に関しては、ツーバイフォーの自由度が低いことは事実であるが、在来工法が絶対的に自由度が高い訳でもないということです。
築古物件の安全性について
リフォーム以外の視点で築年数の古い物件を検討する場合は、ツーバイフォーの方が安全である可能性が高いようです。
ツーバイフォーは昔から規定が定められていたため、古い家でも品質のバラツキが少なく、強度の高い家が多いようです。
一方で、在来工法は元々規定が無く、近年になってようやく規定化が図られたため、古い家は設計士や大工の技量によって品質のバラツキが大きく、強度に不足のある家もあるそうです。
特に2000年6月の建築基準法改訂前の家については、在来工法とツーバイフォーの差が大きく、古ければ古いほどその差が開くそうです。
更に言えば、最近でも在来工法では無理のある設計で建てられることがあるそうです。
ただし、あくまで在来工法は品質のバラツキが大きいというだけで、必ずしも在来工法の強度が低いわけではありません。
在来工法であってもきちんと強度計算されていれば、ツーバイフォーと同等以上の強度が得られます。
3.まとめ
中古戸建てとツーバイフォーの関係についてまとめると以下になります。
- ツーバイフォーは耐震強度も高く、住宅性能も高いので、中古戸建てを選ぶ上ではおススメ。特に、築古物件ではツーバイフォーの方が高品質である可能性が高い。
- ただし、リフォームで間取り変更を考える場合は、ツーバイフォーの方が自由度が低い可能性もあるため、工法を確認した上でリフォーム業者やホームインスペクターに相談する。
- 在来工法も近年ではツーバイフォーと遜色のない品質であるが、築古物件(特に2000年以前)は品質にバラツキが多いので注意。在来工法の築古物件はホームインスペクションを行った方が安心かもしれない。
総じて中古戸建て探しにおいてツーバイフォーはおススメですが、日本においては在来工法の方が圧倒的に多く、工法にこだわり過ぎると家探しが進まない可能性もあります。
家探し中は工法はあまり気にせず、気に入った物件がどちらの工法かによってその後の対応を変えればよいかと思います。
現在の日本において在来工法のシェアが高いのは、技能の高い大工さんがたくさんいたからだそうです。
しかし、今後は大工さんの数も技能も担保することが難しくなるため、今後の日本においてはツーバイフォーの方が適した工法なのかなと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
4.出典
当記事における住宅の工法に関する知識は、以下の動画から取得しております。
【木造って?】在来工法vs2x4工法!どっちがいいの?? - YouTube
【どっち?】在来工法vs2×4工法、ポジショントークに騙されない - YouTube
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