戸建てマイホームにおいて中古をお勧めする理由 中古のメリット・デメリット【住宅論】
こんにちは、やんともです。
私は昨年戸建てマイホームを購入しましたが、新築注文住宅でも新築建売り住宅でもなく、中古住宅を購入しました。
現在はとても快適なマイホーム生活を送っています。
そして、これからマイホームを検討される方にも中古戸建てをお勧めしています。
私がなぜ中古戸建てをお勧めするのか、その理由をお話しいたします。
また、中古にはどんなメリットがあり逆にどんなデメリットがあるのか、また中古戸建てに関する懸念点についても解説いたします。
本日の内容は中古マンションにも一部当てはまるかと思いますが、中古マンションの事情については詳しく把握できていない部分もあるため、中古戸建てを中心に書かせて頂きます。
1.中古のメリット・お勧めする理由
■新築価格が乗っていない(コストパフォーマンスその1)
■建物の価値が償却されている(コストパフォーマンスその2)
■消費税がかからないことが多い(コストパフォーマンスその3)
■現物を見て購入できる
■周辺環境を調べやすい
■売主が家財を残してくれる場合がある
2.中古のデメリット・懸念点
■住宅性能が低い(特に断熱性)
■自分が好きな間取り、デザイン、設備にできない
■建物が劣化している?
■保証がない
■耐震性が不安?
■住宅ローン控除を受けられない・控除額が少ない
3.中古戸建てのコンセプトは大きく2つある
4.新築は買うべきではないのか?
5.最後に
1.中古のメリット・お勧めする理由
中古をお勧めする理由、中古のメリットをいくつか挙げたいと思います。
主にはコストパフォーマンスの良さがメリットですが、コスパが良いのにもいくつか理由があります。
新築価格が乗っていない(コストパフォーマンスその1)
コスパがよい理由の1つ目が新築価格が乗っていないと言うことです。
新築価格とは、家本来の価値に加えて新築にのみ乗せられた価格のことです。
例えば築0年で2000万円の価値がある建物があったとして、これを新築で買うと2100万~2300万円ほどかかると言われます。
この1割程度の上乗せは、ハウスメーカーが家を売るためにモデルルームや営業マンに掛ける費用、いわゆる営業費です。
そして、中古で売買される際はこの営業費分の価格がほとんど引き継がれないため、中古は新築に比べ割安になります。
建物の価値が償却されている(コストパフォーマンスその2)
簿記会計上、木造戸建ての建物は22年かけて価値がゼロになります。
一方、土地の価値は償却されないため、22年過ぎても元の価値のままです。
そのため、(上記の新築価格はゼロとして)新築時建物2000万円+土地2000万円=合計4000万円の家があれば、22年過ぎればその価値は2000万円(土地代のみ)となります。
(ただし、これとは別に地価の変動はありますので、実際に2000万円が維持されるかは分かりません。)
中古戸建ての販売価格も上記の価値に準じて付けれますので、同じ家でも新築より安く購入することができます。
でも20年も過ぎれば建物の状態は新築と同じじゃないだろう、と思われると思います。
確かに、年数が経てば建物は劣化します。
しかし20年経ったからと言って利用価値がゼロにはなりません。
普通に人が住むことはできますし、リフォームすることで新築に近い状態まで回復させることができます。
築20年の木造戸建てのリフォーム費用は、300万~400万円が目安とされていますので、建物の値下がり代より十分安い訳です。
ここについては2章のデメリットでも解説いたします。
消費税がかからないことが多い(コストパフォーマンスその3)
コスパがよい理由の3つ目は、中古は消費税がかからないケースが多いということです。
ただし、必ずしも消費税がかからないという訳ではなく、かかるケースもあります。
では、消費税がかかるか、かからないかの違いは何か。
売主が業者か個人かの違いです。
家に限らず消費税が発生するのは業者から物を買う時だけです。
メルカリなどで個人から物を買う時は、消費税を払う必要もありません。
なので、中古住宅の購入においても売主が個人(基本的に元の住人)の場合は消費税が発生しません。
新築の場合は売主が個人と言う事はまずありませんので消費税が発生します。
今は消費税率10%ですので、この差は大きいと思います。
現物を見て購入できる
中古物件の場合、必ず完成した現物を見てから購入することができることも大きなメリットです。
新築注文住宅の場合は現物を見る前に契約しなければなりません。
施主さんのブログ・動画を見たり、友人の話を聞くと、「もっとこうしておけばよかった。」「イメージと違った。」という話をよく聞きます。
すべてが大きな問題ではないと思いますが、注文住宅の場合はその可能性があります。
新築建売りは完成後に契約できればいいですが、人気エリアであれば完成前に売れてしまうケースもありますので、その場合はやはり完成前に契約する必要があります。
その点、中古住宅は現物を見て購入できますので、契約後にイメージと違ったという後悔はありません。
ただし、中古住宅には全く後悔が発生しないかと言えばそうでもなく、住んでみてギャップに気づく可能性もありますし、間取りやデザインに対する後悔はなくとも、そもそも家が傾いていたり雨漏りしていたりということで後悔することはあると思います。
周辺環境を調べやすい
中古物件の場合、周辺環境を調べ易いというのもメリットです。
周辺環境(特にご近所さんとの関係)は家本体と同じぐらい大事だと言われます。
中古物件の場合、既に家が出来上がって人も住んでいるので周囲を含めた生活圏が出来上がっています。
なので見学に行けばその生活圏を肌で感じることもできますし、売主さんに話を聞くこともできます。
新築の場合は、まだ人が住んでいないので周辺環境を調べることが難しいですし、大きな分譲地であれば隣に誰が住むかも決まっていないことがあります。
売主が家財を残してくれる場合がある
中古住宅は元の住人が住んでいた家を受け継ぐことになりますので、元の住人(売主)が家財を残していってくれる場合があります。
テレビのアンテナが設置済であったり、インターネット回線が工事済であることもあります。
ただし、あくまでその可能性があるというだけで、必ずしも残していってくれる訳ではありません。
また、残された物は使える物もあれば使えない物もありますし、使えるけれど気持ちの問題で使いたくないという物もあると思います。
その場合は処分する費用と手間がかかることもあります。
私の家の場合はエアコン2台を残してもらったことはありがたかったですが、鉢植えに入った大量の草花は処分が大変でした。
カーテンも一部残っていたので、コインランドリーで洗濯して使える物は使いました。
テレビアンテナの設置やインターネット回線はありませんでした。
ここは、メリットになることもあればデメリットになることもあります。
家を傷つけてもあまり気にならない
これは感情論であり人にもよると思いますが、中古は元々傷があるので壁やフローリングを多少傷つけても気になりません。
新築を建てた・買った方のブログを見ていると、やはり壁やフローリングを傷つけるとショックを受けておられるように見えます。
もちろん人によっては中古であっても傷がつけばショックと言う人もいますし、他のメリットと比べればおまけのようなものかと思います。
2.中古のデメリット・懸念点
前章で中古メリットを述べ、中古をお勧めしましたが、中古にはデメリットもあります。
また、中古を検討する上で不安に思う懸念点もあります。
ここではそのデメリット・懸念点について紹介し、解決策がある場合はその解決策もお話しします。
住宅性能が低い(特に断熱性)
個人的に中古の最大の弱点は住宅性能、特に断熱性だと思います。
私が購入した家は築18年でそこまで古い雰囲気はありませんが、冬はけっこう寒いです。
一方、最近の家はどのメーカーも高断熱・高気密を売りにしています。
エアコンの電気代も安いといいます。
快適性と光熱費の両面で高断熱は羨ましいです。
ただし、中古と言っても築年数の浅い物件であれば高断熱を享受できることはあるかと思います。
自分が好きな間取り、デザイン、設備にできない
一般的に注文住宅と比較した場合の最大の弱点になるのが、間取りやデザインや設備を自分の好きな仕様にできないことです。
逆に注文住宅を建てる理由は、間取りやデザインにこだわりがあることが一番ではないかと思います。
メリットの中で「現物を見て購入できるので、出来上がってイメージと違うという後悔がない」と言いました。
例えば玄関に対してこだわりを持っていた人が、注文住宅で造ってみたら理想通りにできなかったという後悔はあると思います。
一方で、中古住宅の場合は現物とのギャップはなくても、そもそも理想の玄関がある物件が見つからない可能性もあります。
私は間取りやデザインにあまりこだわりがなく、元の住人が生活できていた家であれば自分が住むのも問題ないと考えるタイプです。
なので、ここはあまりデメリットに感じないのですが、こだわりがある人にとってもどうすることもできません。
解決策として、中古物件もリフォーム(リノベーション)をして大幅に間取りやデザインを変えることはできます。
設備は希望の機種にリプレイスすればよいです。
また、実はリノベーションにはかなりの自由度があり、部屋のイメージも大きく変えることができると言います。
しかし、やはりリフォームには限界もあり、どうしても柱や壁を除去できず望んだ間取りができないこともあります。
そもそも元の家を超える広さは手に入れることはできません。
また、本格的なリノベーションであれば工事費用も高額になるため、ベースとなる家探しも間違わないようにしなければなりません。
建物が劣化している?
これはデメリットというより、中古に対する一般的なイメージ・懸念点です。
確かに家に限らずほとんどの物は時間が経つと劣化します。
家であれば建物の健全性に関わり、更にそれが住人の安全性、快適性に繋がります。
それなのに古くなった家を購入して大丈夫なのでしょうか?
まず、古くなっても健全に建っていられるかという問題ですが、木造戸建ては基本的に100年は持つそうです。
傾いていたり、シロアリに食われていたり、雨漏りしていたりする場合も、補修して十分住み続けられるそうです。
次に、構造的な健全性は問題ないとしても、設備が正常に使えるかや見た目的に不快感がないかですが、これについてはリフォームで改善することができます。
設備は新品に変えることができますし、内装なども今風にして快適で新築に近い気分で住むこともできます。
結局費用が掛かるじゃないか、と思いますが、1章で説明したコストメリットに対してリフォームの費用の方が少額であるケースが多いです。
参考までに、築年数ごとのリフォーム費用の目安は、
築10年:100万~200万円
築20年:300万~400万円
築30年:500万円~
と言われています。
汚れ程度であれば、10万円前後のハウスクリーニングでかなり綺麗になります。
ただし、購入した後に大きな瑕疵が見つかり多額の補修費用が発生することもあり、そのようなハズレ物件に当たる可能性があるというのも中古のデメリットであります。
新築でも絶対に瑕疵がないとは言えませんが、新築には保証が付いているため、そこで大きな差が出ます。
保証がない
上の建物の“劣化”の続きの話ですが、中古住宅は家に瑕疵がある可能性がある上に、保証が付いていないと言う点がリスクです。
(引き渡しから3ヶ月間の瑕疵担保期間はあります。)
新築住宅でも欠陥がないとは言えませんが、必ず10年間の保証が付いていますので、それで補修することはできます。
瑕疵が見つかっても補修はできるのですが、瑕疵の内容によっては補修費用が数百万円になることがあるため、やはり瑕疵物件を買わないに越したことはないです。
対策として、築年数の古い物件、もしくは瑕疵が疑われる物件についてはホームインスペクション(住宅診断)を受けることをお勧めします。
見えない瑕疵は素人では見つけにくいため、プロにお任せした方がよいです。
耐震性が不安?
古い家となると耐震性に不安があります。
家の耐震性能を知る上で、建てられた年により2つの基準があります。
①新耐震基準:1981年6月以降
②新々耐震基準:2000年6月以降
①新耐震基準は、「震度5で損壊しない、震度7で倒壊しないだけの強度」を担保する基準です。
新耐震基準をちょうど満たす強度の建物を耐震等級1、その1.25倍の強度を有すれば等級2、1.5倍では等級3となっています。
②新々耐震基準は①新耐震基準における強度不足を補うために、①新耐震基準の強化版として木造戸建てにのみ設定された基準です。
中古住宅の購入においては、②新々耐震基準の対象となる物件であればあまり耐震性を気にする必要はないと思います。
一方で①新耐震基準以前の物件はなるべく買わない方がよいと言われます。
①~②の間の物件は、ホームインスペクション(住宅診断)を実施した上で、必要に応じて耐震補強を行うのがベターです。
住宅ローン控除を受けられない・控除額が少ない
住宅ローンで家を買うと、所得税や住民税の一部が返ってくる「住宅ローン控除」を受けることができます。
マイホームを持つ上でこの制度は非常にありがたいですが、中古住宅の場合は新築に比べて不利な点があります。
まず、制度を受けることができる条件ですが、築20年以内の住宅に限られます。
(マンションなどの耐火建築は築25年以内)
よって築20年を超える中古を購入するとこの制度が受けられず、控除額の累計分を損することになります。
築20年を超える物件でも耐震化を行いその証明を取得すれば対象とすることはできますが、その費用が高額となる可能性もあるため、慎重な見極めが必要です。
また、控除額についても中古住宅は新築より少なくなります。(以下、2022年度版住宅ローン控除の条件)
まず基本的な控除額ですが、「年末の住宅ローン残高×0.7%」が毎年返ってきます。
これは新築も中古も同じです。
しかし、控除期間が新築は13年間に対し、中古は10年間と短くなります。
また、控除対象となる住宅ローンの残高には上限があり、新築の場合は3000万~5000万円です。
上限額は省エネ性能によって変わりますが、ほとんどの新築住宅が4000万円以上の対象になると思います。
一方、中古住宅の住宅ローン残高上限額は2000万~3000万円です。
中古住宅も省エネ住宅は3000万円となり、その他の家は2000万円となります。
ただし、住宅ローン控除では不利でも、中古の場合は消費税がかからないことが多く、その場合はトータルで中古の方が得になります。
実際に2021年度までは新築or中古ではなく、消費税の有りor無し(もしくは適用された消費税率)で控除期間や上限額が設定されていました。
2022年度からは制度改定で新築or中古で区別されるようになりました。
3.中古戸建てのコンセプトは大きく2つある?
マイホームにおいて中古戸建てを選ぶ目的、コンセプトとして、私は大きく2つあると考えています。
①完成品としての中古戸建て
1つめは、元の家を完成品としてほぼそのまま使い、安価に程度のよい家を手に入れるという中古の買い方です。
リフォームは必要最低限だけ行います。
新築で言うところの建売りに近い買い方を、中古で安価にするという考え方です。
私の家の購入もこちらです。
この場合、築15~20年ぐらいの状態の良い中古戸建てを買うとよいのではないかと思います。
価格も下がっていますし、リフォームの手間も少なく、住宅ローン控除も受けられます。
②大規模リノベーションで自分好みの家を造る
2つ目は、元の家に大幅な改造を加えて、間取りやデザインを変えてしまうというやり方です。
新築で言うところの注文住宅に近いことを、安価に行うということです。
この場合、築30年近い中古戸建てを廉価で手に入れ、リフォーム・リノベーションにお金をかけた方が上手くいくケースが多いのではないかと思います。
上記①②はどちらも新築より安価に家を手に入れるという基本的な考え方は同じですが、リフォーム・リノベーションの規模によって物件の選び方も変わってきますので、中古に求めるコンセプトはしっかり定めておいた方がよいかと思います。
4.新築は買うべきではないのか?
私はこの記事において「中古はコスパが良いからおススメ」と述べていますが、逆を言えば「新築はコスパが悪い」ということになります。
では新築を買う・建てることはいけないことでしょうか?
まず、自分の資力を超えた家を買う・建てることは辞めた方がよいと思います。
これは新築戸建てに限らず、中古であってもマンションであっても共通したことです。
賃貸で家賃を払う場合も同じです。
また、相場より異常に高いぼったくりの家も避けたいところです。
これも新築に限った話ではありません。
しかし、自分の資力の範囲内で長期間住む家を相場並みの価格で買うのであれば、コスパや資産的損得は基本的に関係ないと思います。
どうしても「この立地にこの広さでこの間取りでこのデザインで劣化のない家が欲しい」という考えであれば、その条件で建てた・買った新築の価格が適正価格だと思います。
長期間住んでローンを払い終えてしまえば、残った資産価値がいくらかは問題ではないはずです。
ただ、留意して頂きたいのは「持ち家には予期せぬ住み替えリスクが付いている」ということです。
この可能性は誰しもゼロとは言えず、死ぬまで住むと決めていても何らかの理由で住み替えを余儀なくされることはあります。
その際に重要なのが住宅ローンの残高に対する家のその時の価値です。
できればローン残高を上回る価値が残っていて欲しいですが、そうでなくてもなるべくローン残高に近い価値が残っていないと、その分資産的に損をすることになります。
そして、資産価値がローン残高をより下回り易いのが新築ということになります。
新築を検討する場合は、予期せぬ住み替えリスクに対しては不利であることを認識頂きたいと思います。
5.最後に
今回は戸建てマイホームにおいて私が中古をお勧めする理由を挙げさせて頂きました。
改めてポイントをおさらいすると、
- 最大のメリットはコストパフォーマンスがよいこと
- なんとなく「古いから嫌だ」というのは実は克服できるかもしれない
- 間取りやデザインにこだわりがある人は新築注文住宅がお勧めかもしれない
もし価値観が一致する人は、中古戸建ても検討してみてください。
中古戸建ての買い方や中古戸建てを買う上でのポイントは下記記事にまとめています。
私は間取りやデザインには強いこだわりがないので中古で問題ないのですが、断熱性の高い温かい家にはやはり憧れます。
それと、スマート○○のような住宅用IoTもいいなぁと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
筆者(やんとも)とこのブログについての紹介です( ^ω^)b
【関連記事】
クリックして応援よろしくお願いしますm(_ _)m