擁壁上の物件 崩落の危険を回避【マイホーム探し】
こんにちは、やんともです。
中古戸建てを購入しマイホーム生活を始めました。
家探しの体験談を綴っていきたいと思います。
家探しをしていると、『擁壁』の上に建てられた物件に出会うことがあります。
私の場合は、新築・中古合わせて2件の擁壁上物件に出会いました。
(1)1件目(新築):擁壁高さ約2.5m。擁壁下は道路。傾斜地のひな壇物件。
(2)5件目(中古):擁壁高さ約7m。擁壁下は鉄道の線路。
日当たりや風通しは良さそうですが、擁壁が崩落する可能性はないのか不安になる部分があります。
今回は擁壁上の物件の注意点についてです。
ポイントは以下です。
1.擁壁の所有者は誰か
2.建築確認申請は取られているか、健全な擁壁か
3.擁壁から建物まで適正な距離が取られているか、杭基礎となっているか
4.最後に
1.擁壁の所有者は誰か
まずチェックすべきは、擁壁の所有者が誰かです。
所有者のパターンは3通りです。
①家の所有者
②自治体(市区町村)
③家の所有者以外の民間人
私が出会った擁壁は2件とも②自治体(市)でした。
②自治体の場合、擁壁に不具合があった際は自治体に言えば自治体が修繕してくれます。
故意や過失で損壊させた場合を除き自分で修繕費を出費する心配はありません。
また、自治体が所有する擁壁は、次章で述べる建築確認申請もほぼ出されているかと思いますので、擁壁建築時には適切な施工がされていると考えてよいと思います。
一方①家の所有者が擁壁の所有者である場合、物件を購入したら擁壁も自分の所有物になりますので擁壁を修繕する場合は自分で出費する事になります。
③家の所有者以外の民間人の場合も、所有者と適切な借地契約などがなされていれば修繕義務は所有者にありますので、故意や過失が無ければ原則として自分で修繕費を出費する必要はありません。
ただし、ひびなどが見つかっても自治体のようにすぐ対応してくれない可能性もありますので、その点はトラブルに発展する場合もあると思います。
擁壁が誰の所有物であるかは、仲介業者を通して確認した方がよいです。
2.建築確認申請は取られているか、健全な擁壁か
次に確認すべきは、擁壁が健全で崩落の危険がないかです。
建築確認申請の提出の有無
まずは擁壁の建築確認申請が出されているかどうかです。
ほとんどの自治体では通称がけ条例と呼ばれる条例が施行されており、規定の高さ(基本的に2mまたは3m)を超える“がけ”は擁壁を設けて、更に建築確認申請を提出し検査証を取得することが義務付けられています。
しかし、規定の高さ以下の擁壁であれば確認申請の義務がありませんし、規定の高さ以上であっても擁壁の所有者が適正に確認申請を出していないケースもあるようです。
その場合法律で認められた工法で擁壁が築かれていない可能性もあります。
擁壁を構成するブロックが安定した積み方をされていなかったり、擁壁内部に溜まった雨水が排出されなかったりして、崩落の危険性があります。
2021年6月に大阪市西成区で擁壁とその上の建物が崩落するという事故がありましたが、これも“空積み”と呼ばれる法律に適さないブロックの積み方がなされていたことが原因のようです。
(かなり昔に建てられた擁壁で建築確認申請が出されていなかった?)
よって建築確認申請の有無も売主さんや仲介業者へ確認した方がよいです。
擁壁内の地盤の健全性
また、建築確認申請が出された擁壁でも、擁壁内に詰められた土が雨水と一緒に流れ出て擁壁内の地盤がスカスカとなっていることもあるようです。
このような状況を回避する方法として、まず新築もしくは築年数の浅い物件(2007年以降)であれば実質的に地盤調査・地盤改良工事が義務化されているので、基本的に問題ないと思います。
築年数の古い物件であれば、建物の傾きの有無を確認する方法があります。
地盤が弱くなっていれば傾きが生じている可能性が高いです。
ただしこれは定性的な確認方法ですので、不安があれば地盤調査会社に調査を依頼するしかないかと思います。
気になるようであれば仲介業者に相談してみると良いです。
3.擁壁から建物まで適正な距離が取られているか、杭基礎となっているか
上記の通り建築確認申請が出されているかを確認することで、建築時に適正な施工がされたかを確認することはできますが、仮に適正な施工がされていたとしても経年劣化により崩落する可能性はゼロではありません。
そこで万一擁壁に不具合があっても建物が崩落しにくい物件のポイントが2点あります。
建物と擁壁(がけ)の間に適切な距離が保たれているか
がけ条例では、がけの下端から水平方向に高さの2倍以内の範囲、もしくは下端から角度30度の範囲においては、擁壁なしに建物を建てることができないとされています。(距離の基準は自治体によって異なる?)⇒規制範囲
逆に、上記の規制範囲の外側に建てられた建物であれば、万一擁壁が劣化してがけの崩落が起きても、倒れたり傾いたりする可能性は低いと評価することができます。
杭基礎になっているか
杭基礎とは、建物の基礎の下に杭が打たれた基礎になります。
杭基礎とすることで、緩んだ地盤においても家が傾いたり倒壊する危険が少なくなります。
私が見学を行った擁壁物件2件も、杭基礎となっていました。
新築物件(1)は建物の一部だけ規制範囲に掛かっていたため、その部分だけ杭基礎となっていました。
杭基礎となっている範囲はわずか(2~3m2程度?)で、杭も1mぐらいの短く細いものでした。
中古物件(2)は建物全体が規制範囲に掛かっていたので、基礎全体に大きな杭が打たれていました。
杭は長さ5mはあろうかという大きな鋼管杭で、基礎全体に15本近く打たれていたかと思います。
4.最後に
擁壁の崩壊は人的・資産的大きな被害をもたらす可能性があります。
擁壁上の物件を検討する場合は、擁壁と建物の両方の健全性をしっかり確認してください。
仲介営業マンに質問してみて、あいまいな返答が返ってきた場合は、そこで納得せずしっかり問い詰めて確認させた方がよいです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
中古戸建てをメインに『家探し』の記事を書いています。
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